呼吸器疾患について
気管支喘息とは
● 症状について
喘息は、空気の通り道である気道(気管支など)に炎症が起き、空気の流れ(気流)が制限される病気です。気道はいろいろな吸入刺激に過敏に反応して、発作的な咳、"ゼーゼー"と気管支が鳴る喘鳴、ときに呼吸困難が起きます(気管支が収縮して気流が制限され、それによって喘鳴や呼吸困難が起きてきます)。
この症状は、ときに自然にまたは治療により改善しますが、治療の継続を怠ると繰り返し症状があらわれます。
年に数回軽い喘息発作を起こすだけで、無症状でも気道では長い期間炎症が継続しています。
適正な治療が行なわれないと、炎症とその修復が繰り返される過程で気道の壁が厚くなって、空気の流れ(気流)が元に戻らなくなり、気道の敏感さ(過敏性)も増します。このようになる前に治療が必要です。
● 原因
さまざまな原因物質に対して過敏に反応し、気管支が収縮することで喘息が起きます。 室内アレルゲンで最も多いのがハウスダストやダニであり、アレルギーの関与が指摘されています。ほかに、室外アレルゲン(花粉やカビ)、薬物(アスピリン:解熱鎮痛薬)、大気汚染物質、呼吸器感染症(かぜ、インフルエンザなど)、タバコの煙、気象の変化、心理的ストレスなどが知られ、その原因は多岐に及びます。
咳喘息(せきぜんそく)
● 症状について
“長引く咳”の原因の中で、最も頻度が多いと考えられています。咳喘息は、慢性的に咳が続く気管支の病気です。かぜに併発して起こることが多く、かぜを引いた後に2~3週間以上咳が続くことがあれば、この病気の可能性が出てきます。夜中~明け方にかけて、あるいは昼間に激しい咳が出るなど、寒暖の差やタバコの煙、会話をした際にも咳が出やすくなるのが特徴です。咳の発作が激しい場合は、胸に痛みを感じることもあります。
成人では女性に多い傾向があり、しばしば再発を繰り返します。
気管支喘息と異なり、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)や呼吸困難感(呼吸が苦しくなる)はありません。また、発熱や痰などの症状もほとんどありません。
● 原因
さまざまな刺激に対して気管支が過敏となり、炎症や咳の発作が起こります。室内外の温度差や天気(雨天等)、たばこの煙(受動喫煙を含む)、運動、飲酒、ストレスなどのほか、ホコリやダニなどのいわゆるハウスダストなどが咳の発作の要因になるといわれ、患者数も年々増加しています。
インフルエンザとは
● 症状について
典型的な症状は、突然の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などで、のどの痛み、咳、鼻水なども見られます。普通の風邪に比べて全身症状が強いのが特徴です。
感染発症すると、高熱が出て体調が悪くなることにくわえて、1週間前後の休養が必要となります。流行する前に、ワクチンを接種して予防することをお勧めします。毎年の流行期間が、12月~3月ですので、11月中に接種されますと効果的です。感染した場合は、速やかに治療することが重要です。
● 原因
インフルエンザウイルスに感染することによって起こります。
かぜ症候群とは
● 症状について
鼻やのどに起こる急性の炎症の総称で、正確にはかぜ症候群と呼ばれます。
のどの痛み、鼻水、鼻づまり、咳、たん、くしゃみ、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛みなどの症状があります。
安静にすることが一番の治療ですが、のどの痛みや激しい咳、鼻水や痰が黄色や緑色で濁っている、などの症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
● 原因
ほとんどの場合、ウイルスや細菌が、鼻や口から肺にかけての気道(空気の通り道)に感染して起こります。季節の変わり目、働きすぎ、寝不足、栄養の偏りなどで抵抗力が低下したときにかかりやすくなります。予防法としては、手洗い、うがい、マスクの着用が効果的です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
● 症状について
慢性閉塞性肺疾患(COPD) は 咳やたん、息切れが主な症状で、「慢性気管支炎」(頑固な咳やたんが続き気管支が狭くなる疾患)と「慢性肺気腫」(肺の組織が破壊されて徐々に進行する息切れや呼吸困難を起こす疾患)のどちらか、または両方によって肺への空気の流れが悪くなる病気です。
初期には自覚症状がほとんどない場合が多く、ゆっくりと進行して、しだいに重症になっていきます。かなり進行してから、患者さんが咳やたん、息切れやなどの症状に気づく場合が多いのです。
症状を“年齢のせいでは…”と見逃さないでください。日本では40歳以上の8.5%(男性13.1%,女性4.4%)、COPDの潜在患者は530万人以上と推測され、治療を受けているのはそのうち5%未満といわれています。未治療の患者さんが大変に多いのが特徴です。
● 原因
別名"タバコ病"ともいわれるように、最大の原因は喫煙で、患者さんの90%以上は喫煙者です。
長年にわたる喫煙が大きく影響するという意味で、まさに"肺の生活習慣病"です。
タバコを吸わない人でも4.7%の人がCOPDにかかっています。これは、副流煙による"受動喫煙"の危険性を示しています。家族がヘビースモーカーだったり、分煙されていない職場で仕事している人はCOPDにかかる危険性が高まります。